「夢と挑戦にあふれたIT技術者の世界」を目指して」


特定非営利活動法人ITプロ技術者機構 会長 安田 晃

「最近の若者は覇気が無く、将来への夢を持ってがんばっている人が少ない。中国、インドなどの若者のたくましさや、夢を求めて頑張る姿を見るにつけ情けない」といった苦言を若者に向ける人は少なくない。しかし、日本の若者をこのような状況に追いやったのは誰だろうか? 我々の世代に責任は無いのだろうか?

確かに我々の世代が働いた日本の高度成長期は、社会に夢があふれていた。しかし、そのような環境の中、次に続く世代のことをどれだけ考えてきただろうか?

我々自身が、解決に向けた努力をすべきであり、あるべき人材像としては、知識や技術だけでなく、以下のような側面も重要である。

◇ 夢を抱き、挑戦意欲、バイタリティをもった技術者の姿

技術だけでなくバイタリティの醸成も大切。アクティブなIT技術者をどうやって育てるかが重要。バイタリティを醸成できるコミュニティ基盤等、自己実現の夢に挑戦できる環境の整備・充実が必要。また、日本の強みを生かしたIT技術者の活躍の場の開拓も必要。

◇ キャリアコースを描き、キャリアディベロップメントを実践できる技術者の姿

若い人が安心して、夢を求めて情報系学科やIT業界に入ってくる状況にする必要がある。経験や資格、ITSS等を基にしたキャリアコースのガイド整備。キャリアデザインのサクセス例の紹介。資格を活用した職域の開発。資格活用情報の交換等の環境整備。産業界もキャリアコースを意識した育成体制を充実する必要がある。

◇ 中高年になっても、若者があこがれるIT技術者の姿

若い技術者もいずれ中高年になるのであり、将来の自分の姿として見る。中高年のIT技術者のキャリアデザインのためのガイドや情報、キャリア開発のための職域開発や教育機会の整備・充実が必要。

◇ IT技術者として、正しい倫理観と社会的責任を自覚し、自らを律している姿

技術倫理、技術者倫理に関する教育や研修等の環境整備が必要。

◇ IT技術者として自立している姿

倫理観、持論に従い自ら判断・実践でき、たとえその結果、職を失っても、自活できる実力を備える必要がある。新しい技術動向や社会動向に認識を持つ場の提供。新しい事業に挑戦できる機会や情報を提供する環境の整備が必要。

本機構は、以上のような課題の解決に貢献すべくNPOとして設立した。倫理教育や実践的な研修、独自性が発揮できる実践の場の提供など、多角的なアプローチにより、ITのプロフェッショナル技術者として自立できる環境提供に取り組み、「夢と挑戦にあふれたIT技術者の世界」の実現に尽力していきたいと思っている。

2008年元旦